戦略的思考
垂秀夫前中華人民共和国特命全権大使の講演は、極めて示唆に富むものでした。中国外交の根底には、古典である『孫子』の思想にも通じる長期的かつ戦略的な発想があります。内部で権力闘争があろうとも、最終的には一貫して中国共産党の利益を確保し、さらに拡大する方向へ収れんしていく。その国家意思の強さと持続性は、私たちが直視すべき現実です。
翻って日本はどうか。政権交代や世論動向に左右されやすく、外交における構造的弱点は、戦略的思考の欠如にあるのではないでしょうか。自らゲームのルールを設計し、主導する力が弱い。友好か対峙かという二項対立ではなく、「戦略的に管理する」という発想で外交を設計する視点が求められています。
感情論を排し、冷静なリスク管理のもとで国益を守る。日本は開かれた国であってよい。しかし、戦略なき善意は国を守りません。今こそ政治家が心に刻み、実行する覚悟を持つべき時だと強く感じました。
優れた外交官が国家経営に活かされない、リーダーになれない根本的な課題があるとも感じます。適材適所が国家レベルで必要です。
