百年開かずの扉
「100年開かなかった扉が開いた」育英学園高等学校の優勝おめでとうございます。監督のインタビューに対する対応がもとても重々しく関係者への配慮が感じられ言葉も整理されていてわかりやすく見事なものでした。
特に「100年開かなかった扉が開いた」がとても印象的な言葉として私の心に残っています。まさに言葉通り、目に見えぬバリアが厳然とあり、いざという時、最後の踏ん張りの足元を掬う、そのような繰り返しでした。
正に「漠妄想」、妄想すること勿れ、でした。私のような「原住民」のルーツを持つものは率直に監督の言葉に反応し涙ぐみます。因みに、監督は関東生まれ、育英学園出身者とお聞きしました。
「白河以北一山百文」そのような偏見を払拭しよう、唯一の地元紙の創刊の気概です。とはいいながら、東京から仙台に赴任すると「都落ち」と自虐することが普通でした。そうそう夏目漱石の作品「坊ちゃん」にも東北に赴任した坊主に触れた一節で東北を「仮外の地」「僻遠の地」を思わせる表現がありましたね。「熊襲の地」と偏見と浅学を晒した方もいました。
時代は大きく変わりました。「原住民」だけではとうに立ち行かなくなっています。仙台市の出身別人口構成も優に半数以上は他県出身です。社会、経済そして教育も他県出身者で支えられています。大事なことは、「郷土意識」を共有することです。
広い意味で「選ばれる仙台」になるためには、選ばれる教育、選ばれる企業、選ばれる住宅環境、選ばれる福祉政策、選んで頂き移り住み子育ての地になることに注力することの大事さを改めて認識した思いです。
「100年の扉」は真紅の優勝旗に開かれたばかりではなく、目覚ましい発展を阻む「何か見えないバリア」を一気に払拭した、と思いたい。「真紅の優勝旗」を常に目に見える場に展示できるといいなあ、と思います。我々の覚醒のために。
優勝おめでとうと御座います。育英学園高等学校球児に心から敬意を表すとともに関係者の御労苦を心からの労い申し上げます。